はじめに
今日ユアユニで学んだ事は売れる仕組みの作り方で
事業経営はスポーツと似ており、小さなスキルが積み重なって初めて成功に繋がります。
ワールドカップを目指すサッカー選手がリフティングを無視できないように、売上向上のためには基本的なスキルを徹底する必要があります。
本記事では、経営における行動心理学の応用や、顧客の本音を掴む方法について具体例を交えて話していきます。
2:8の法則とRFM分析
事業を成功させる鍵は、すべての顧客に均一な対応をするのではなく、特定の重要な顧客層に焦点を当てることにあります。
この考え方の基礎となるのが「2:8の法則」です。この法則は、売上の80%が20%の顧客によって支えられているという統計的な現象を指します。つまり、全顧客を同じように扱うのではなく、この20%の顧客を特定し、適切な施策を行うことで、効率的に収益を拡大できるのです。
ここで役立つのが「RFM分析」です。この手法は、顧客の価値を以下の3つの指標で評価します。
- Recency(最新購買日): 最後に購入したのはいつか。最近購入した顧客ほど、再購買の可能性が高いとされます。
- Frequency(購入頻度): これまでの購買回数。頻繁に購入する顧客はロイヤルティが高い傾向があります。
- Monetary(購入金額): 総購入金額。高額商品を購入する顧客は特に重要です。
RFM分析では、これらの指標を元に顧客をスコアリングし、ランク付けします。たとえば、Aランクの顧客はRecency、Frequency、Monetaryのすべてで高いスコアを持つ人々であり、BランクやCランクの顧客と比べて、ビジネスにとっての価値が格段に高いと判断されます。
Aランク顧客への特別な施策
Aランク顧客には、より特別な施策を提供することが重要です。具体的な例としては以下があります:
- 限定オファーや特典: Aランク顧客だけが利用できる割引や商品を提供することで、特別感を演出します。
- パーソナライズされたサービス: 個々の購買履歴や嗜好に基づいて、カスタマイズされた提案を行います。
- ロイヤルティプログラム: ポイントや会員限定イベントを通じて、顧客とのつながりを強化します。
これらの施策は、Aランク顧客の満足度を向上させ、長期的な関係を築くのに役立ちます。また、BランクやCランクの顧客に対しても、Aランク顧客への昇格を目指した施策を講じることで、全体的な収益向上が期待できます。
行動心理学と差別化戦略
商品が売れる理由は、品質や価格だけではありません。実は顧客の購買行動の約8割は「他人の影響」によるものだと言われています。
つまり、顧客自身の意思で購入を決定するケースは少なく、多くは周囲の環境や心理的な働きかけによって左右されます。この顧客心理を理解し、差別化のポイントを「売り方」に置くことで、売上を大きく伸ばすことが可能です。
差別化のカギは「売り方」
現代では、商品そのものでの差別化が難しくなっています。類似商品が溢れる中で重要なのは、「どのように売るか」です。ここで役立つのが行動心理学を応用したマーケティング手法です。その代表的な例が「カラー・マーケティング」と「アンカリング効果」です。
1. カラー・マーケティング
色彩は顧客の購買意欲に大きな影響を与えます。たとえば、カラフルで遊び心のある商品が並ぶ「フライングタイガー」は、店内全体のビジュアルを工夫し、顧客が「つい手に取りたくなる」環境を作り出しています。視覚的な刺激が購買意欲を高めることを示す好例です。
2. アンカリング効果
「アンカリング効果」とは、初めに提示された情報がその後の判断基準になる心理的現象です。コストコでは入口に高額商品(テレビや宝石)を配置し、その後の商品を相対的に安く感じさせる仕組みを採用しています。これにより、顧客は実際の価格以上にお得感を感じ、購買意欲が高まります。
顧客が「つい買ってしまう」仕組み作り
これらの手法を活用することで、顧客が自然と商品を購入したくなる環境を整えることが可能です。重要なのは、商品そのものではなく、商品を「どう見せるか」「どう感じさせるか」です。
具体的な事例
- フライングタイガー:店内の遊び心ある配置が、顧客の「発見欲」を刺激し、購入に繋げています。
- コストコ:最初に高額商品を見せることで、その後の商品が割安に見えるような心理効果を生み出しています。
実践へのヒント
顧客の購買行動に影響を与えるためには、以下のような工夫が効果的です:
- 視覚的な要素を重視する:商品配置や店舗の雰囲気を工夫し、購買意欲を高める。
- 心理的な基準を作る:アンカリング効果を意識し、価格設定や商品順序を工夫する。
- 顧客の動線をデザインする:店内の動線を計算し、つい買いたくなる仕組みを構築する。
3Y分析で顧客の本音を掴む方法
3Y分析とは?
3Y分析は、顧客の行動やニーズの背後にある真の動機を見つけるためのフレームワークです。表面的な理由からスタートし、さらに「なぜ」を繰り返すことで、最終的に顧客の本音にたどり着きます。以下に例を挙げて説明します。
1つ目のY:表面的な理由
まず、顧客が望む表面的な理由を考えます。例えば、結婚相談所を利用する場合、表面的な理由は「結婚相手が欲しい」というものです。
2つ目のY:より深い理由
次に、「なぜ結婚相手が欲しいのか?」を考えます。この場合、「子供が欲しい」「家庭を持ちたい」といった理由が挙がるでしょう。
3つ目のY:本音
さらに深掘りして、「なぜ子供が欲しいのか?」を問います。この段階では、「専業主婦になりたい」「仕事を辞めてゆったり暮らしたい」といった本音が見えてきます。
本音に基づいたPRの重要性
多くの企業やマーケターは、1つ目のYに基づいて広告やPRを行いがちです。しかし、真に効果的なPRは、3つ目のYに焦点を当てるべきです。たとえば、結婚相談所のPRを「理想の結婚相手が見つかる」とするよりも、「子供とゆったり暮らす未来を実現する」といったメッセージに変えることで、顧客の本音に直接響く内容になります。
実例:防犯カメラの本音分析
別の例として、防犯カメラを考えてみましょう。
この場合、防犯カメラの機能を前面に出すのではなく、「子供の安全を守るカメラ」という視点でPRを行うことで、より多くの顧客に刺さるメッセージとなります。
3Y分析を実践するメリット
- 顧客理解の深化:単なる表面的な理由ではなく、深層的なニーズを把握できる。
- 効果的なマーケティング:顧客の本音に響くメッセージを発信することで、購買意欲を引き出せる。
- 競合との差別化:表面的な競争ではなく、本質的な価値を訴求できる。
体験を基にしたマーケティング
エクスペリエンスマーケティングとは?
エクスペリエンスマーケティングとは、顧客の感覚や感情に働きかけることで、商品やサービスに対する好意や信頼を高めるアプローチです。しかし、それだけでは不十分です。重要なのは、その体験を通じて「顧客が自発的に行動を起こす」ように設計することです。この行動促進の仕組みこそが、マーケティングの効果を最大化する鍵となります。
実例:渋谷の美容室での取り組み
渋谷にある美容室では、顧客の行動をより良い方向に導くため、実際に顧客目線での体験を再現する取り組みを行いました。このプロセスで発見されたのが、「LINE登録促進の煩わしさ」です。多くの顧客が、「LINE登録をしてください」といった直接的なアプローチを煩わしいと感じており、これが潜在的な不満となっていたことが明らかになりました。
解決策:自然に感じさせる特典提供
顧客が煩わしさを感じることなく、LINE登録を促進するための手法として、「次回来店特典」を自然に取り入れる方法が採用されました。具体的には、次回来店時に特典を受け取るためのQRコードを会計時に提供し、LINE登録がその特典利用の一環であると認識させる仕組みを構築しました。この方法により、LINE登録への抵抗感が大幅に軽減され、登録率が向上しました。
顧客目線での体験再現がもたらす効果
この事例から分かるように、エクスペリエンスマーケティングを効果的に行うためには、以下のステップが重要です:
- 顧客の体験を再現する
実際に顧客がサービスを利用する過程を再現し、潜在的な課題を洗い出します。 - 行動を自然に促進する仕組みを設計する
顧客が抵抗感なく行動を起こせるように、自然な形で特典やメリットを提供します。 - 継続的な改善を行う
再現された顧客体験から得られたフィードバックを基に、サービスやマーケティングの内容をアップデートしていきます。
体験を活用するメリット
- 顧客の満足度向上:顧客目線で設計されたサービスは、顧客の満足感を高めます。
- 自然な行動促進:煩わしさを感じさせず、顧客が自発的に動くようになります。
- リピート率向上:体験を通じて得たポジティブな印象が、再利用に繋がります。
顧客行動の観察から経営施策を構築
本音を掴むことで成功する事例
1. 募金箱の配置:本音は「小銭が邪魔だから」
多くの人が募金をする理由は「社会貢献」と思われがちですが、実際には「小銭が邪魔だから」という本音が大きく影響しています。この本音に着目し、空港や自動販売機など小銭が溜まりやすい場所に募金箱を設置することで、募金額を大きく増やすことができました。
- 観察ポイント: 小銭が邪魔になるタイミングや場所を特定。
- 施策: 募金を「社会貢献」の行動ではなく、「小銭整理」の一環として提供する。
この例は、顧客の行動を観察し、本音に基づいたシンプルな施策が効果的であることを示しています。
2. オムツとビールの陳列:行動データの活用
あるスーパーで、オムツとビールが頻繁に一緒に購入されることがPOSデータで判明しました。この現象を分析すると、次のような背景が浮かび上がりました。
- 背景: 育児中の母親はベビーカーで買い物をするため、大きな荷物を買うのが難しい。一方、父親が仕事帰りにスーパーに寄り、オムツと自分のためのビールを一緒に購入するという行動が見られました。
この行動パターンをもとに、スーパーはオムツ売り場の近くにビールを陳列する施策を実施。その結果、関連購買がさらに増加し、売上アップに繋がりました。
- 観察ポイント: 購入時の家庭内役割分担や、購入動機を分析。
- 施策: 顧客の行動データを元に陳列を最適化し、購買を促進。
顧客行動を観察するためのステップ
- データを収集する POSシステムやオンライン購買データを活用して、どのような商品が一緒に購入されているかを把握します。
- 現場観察を行う 店舗内で顧客がどのように動き、どの棚で立ち止まり、何を手に取るのかを観察します。
- 顧客の声を聞く アンケートやインタビューを通じて、購買行動の背景にある心理や動機を直接聞き出します。
- 仮説を立て、施策を試す 観察から得た知見を基に仮説を立て、小規模で施策を試し、結果を検証します。
観察から施策を構築するメリット
- 売上の向上: 顧客が自然と購入しやすい環境を作ることで、購買機会を増加させます。
- 顧客満足度の向上: 行動に基づいた施策により、顧客のニーズを的確に満たすことができます。
- 効率的な経営: リソースを効果的に活用し、売上や顧客体験の最大化を図ります。
「ストレスフリー」で行動を促す工夫
ストレスフリーな仕組み作りの実例
1. 子供の洗濯物の片付け問題
多くの親が経験する悩みの一つに「子供が洗濯物を片付けない」という問題があります。この問題に対して取られた解決策は、洗濯かごを「バスケットボールのゴール」の形に変えることでした。子供は遊び感覚で洗濯物を片付けるようになり、親が繰り返し注意する必要がなくなったのです。
- ポイント: 片付けを「やらなければならない作業」から「楽しいゲーム」に変えたことで、自然と行動を促す仕組みを作った。
2. 公衆トイレでの清潔維持
男性用公衆トイレでは、尿の飛び散りが問題になることがあります。ある施設では、便器内にハエの形をしたシールを貼るという簡単な工夫を取り入れました。これにより、多くの人が無意識にその「的」を狙うようになり、結果としてトイレの清潔さが保たれるようになりました。
- ポイント: ユーモアを取り入れた視覚的なターゲットを設置することで、ストレスなく正しい行動を促した。
「ストレスフリー」の工夫から学ぶこと
これらの事例から学べるのは、人は強制されるよりも、自然に行動を取れる環境を与えられた方が、抵抗なくその行動を起こすということです。このアプローチは、ビジネスにおいても応用可能です。
ビジネスへの応用例
- 店舗内の動線設計 店舗の入り口から出口までの動線を計算し、顧客が自然に商品を手に取りやすい環境を作ることで、購買行動を促進します。
- アプリやウェブサイトのデザイン 使いにくいシステムではなく、直感的に操作できるインターフェースを設計することで、ユーザーが目的の行動(購入や登録など)をストレスなく行えるようにします。
- マーケティングのメッセージ 「これをしてください」という指示よりも、「これをするとお得です」という誘導的な表現を使うことで、顧客の自然な行動を引き出します。
効果的なストレスフリー施策のポイント
- 楽しさを取り入れる 作業や行動が苦痛ではなく、楽しいと感じられる仕組みを考えます。
- 無意識の行動を誘発する ハエのシールのように、顧客が自然と望ましい行動を取るような視覚的・心理的工夫を取り入れます。
- 行動のハードルを下げる 必要な手間や時間を最小限にすることで、行動を取りやすくします。
おわりに
「ストレスフリー」で行動を促す工夫は、日常生活だけでなく、ビジネスやマーケティングにおいても効果的です。顧客やターゲットが自然と望ましい行動を取るような仕組みを設計することで、効率的に成果を上げることができます。バスケットボール型洗濯かごやハエのシールのようなシンプルな工夫が、大きな変化をもたらす可能性を秘めています。あなたのビジネスでも、この考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか?
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